■プロフィール
大学院進学も考える中、研究室の先生の勧めでアイシンシロキに応募。大学の学びを活かしてものづくりに携われること、数千人規模と安定感はあるが大きすぎない会社規模が自分に合っていると感じたことが入社の決め手。

Q.現在の仕事について教えてください。
ウィンドレギュレータの構成部品を、順送プレス加工するための金型を担当しています。「順送プレス加工」とは、せん断や曲げ、絞り、張り出しなどの2つ以上の工程を金型内に等ピッチで配置し、その金型へ材料を送りプレスすることで、同一金型内で製品状態まで加工するという方法です。高品質で生産性が高く、省スペース、低コストになるよう、金型メーカーに相談しながら工程を考えてシミュレーション。完成後は安定生産できるまで、現場で調整を重ねます。


Q.工夫している点や苦労することは?
金型はメーカーのテストでOKでも、実際の生産に使うプレス機では問題が起きる場合が多々あり、それを生産開始まで1~2カ月で解消しなければなりません。わずかな寸法誤差ならまだ簡単ですが、プレスの途中段階で形状が崩れてしまうような場合には、金型を分解して機構に問題がないか探ります。1000個単位の連続加工テストで初めて出る問題もあり、穴を打ち抜いたスクラップが詰まることや、材料のメッキが剥がれて金型にくっついてしまうことも。除去する機構を追加するなど、製造部門に助けてもらいながら解消を図ります。入社2~3年目には1人でインドネシア工場へ行き、現地でこうした問題解決に取り組んだ経験がプラスになっています。


Q.仕事のやりがいと今後の目標は?
生産開始後しばらく経っても、金型に故障や大きな問題が起きないとやりがいを感じます。そのために、金型にはあらかじめ、現場の作業者が簡単に調整できる機能を織り込むようにしています。例えば鋼板をカーブ形状にプレスすると、わずかに元に戻る「スプリングバック」という現象が起きますが、そこで戻る分を部分的に調整できるよう、金型をあらかじめ細かく分割しておくのです。そうした必要な機能を見定めるために、類似製品を生産している製造現場のスタッフに、困りごとやトラブルを訊くようにしています。最近は金型に加え、設備の手配も担当するように。これまで築いた現場の人たちとの人脈も頼りながら、技術力を高めていくことが、これからの目標です。
